絵画:ジョン・エヴァレット・ミレイ 「ジェイムズ・ワイアットと孫のメアリー・ワイアット」 1849年
John Everett Millais, James Wyatt and His Granddaughter Mary, 1849.
音楽:ヨハン・パッヘルベル 「カノン」
Johann Pachelbel, Kanon.
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ジェイムズ・ワイアット(1774-1853)はオックスフォードで美術品販売を行うジェイムズ・ワイアット・アンド・サン商会を構えていた人物で、店の階上は彼の住居でした。1846年夏にミレイが異父兄ヘンリー・ホジキンソンとオックスフォードに滞在した際にワイアットと出会い、彼はすぐにミレイの重要なパトロンとなりました。
この時ミレイは17歳。「ペルーのインカ国王ピサロ」(1846)をロイヤル・アカデミーに初出品したばかりでした。
「ジェイムズ・ワイアットと孫のメアリー・ワイアット」に描かれた子どもメアリー(1845-1903)は、ワイアットの息子ジェイムズ・ワイアット・ジュニアとその妻イザベラの娘で、この絵の頃は3歳。ミレイはワイアットとメアリーの肖像を水彩でも描いていて、油彩画では祖父の膝に寄りかかっているメアリーが、水彩画では祖父の膝で絵を描き、左手に水兵の人形を掴んでいます。
「ジェイムズ・ワイアットと孫のメアリー・ワイアット」 1848年
James Wyatt and His Granddaughter Mary, 1848.
あくまで想像ですが、水彩画で絵を描いているメアリーは目の前で彼女をスケッチしているミレイを見て、真似して自分も絵を描いていたのではないでしょうか。3歳の女の子にとって、じっとしてポーズを取るのはあまりに退屈です。人形を持たせてあやしたり、ワイアット氏もミレイもたいへんだったのではないでしょうか。
後に愛らしい子どもの絵を多数手がけることとなるミレイの初期の子どもの絵です。