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音楽:プッチーニ 歌劇『トゥーランドット』より 「誰も寝てはならぬ」
Giacomo Puccini, Nessun dorma from"Turandot".

絵画:エロール・ル・カイン 「まほうつかいのむすめ」
Errol le Cain, The Enchanter's Daughter.

( Shizuka Arakawa )


 荒川静香選手のトリノ・オリンピックで優勝した曲、プッチーニのオペラ『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」です。

 この曲は、2004年の世界選手権で優勝した時の曲でもあります。
 黒の衣装に、髪はお団子にしていて、大人っぽくて素敵でした。
 この時はジャンプが素晴らしく、序盤にトリプル・ルッツ、トリプル・トウループ、ダブルー・ループの三連続ジャンプ、その後にも3−3の連続ジャンプを決めていました。後に新採点法に変り、やっても点数にはならなくなってしまったイナバウアーをこの時は長く見せてくれました。流れるように美しいスパイラルは、プッティーニの音楽にのぴったりと寄り添っていて、胸がいっぱいになるほど美しかったです。
 この時は、のびやかに美しく、とても幸せそうにすべっていたように思います。

 2005年は、12月末の全日本選手権まで、荒川さんのフリーの曲は、ショパンの「幻想即興曲」で、オリンピックもまたこの曲でいくのかと思っていました。
 けれど1月にトリノで、オリンピックですべることになるリンクで練習した際に、このリンクで大好きな『トゥーランドット』ですべってみたいと思われ、変更したそうです。
 ただ振付は2003-2004年シーズンのものとはまったく違い、基本的に「幻想即興曲」の振付のままにしました。

 そしてトリノ・オリンピックの開会式。それはオペラやバレエを取り入れた、イタリアらしい華やかで素晴らしい式でした。
 式の最後、イタリアが誇るオペラ歌手、ルチアーノ・パヴァロッティがプッチーニのオペラから、アリアを歌ってくれました。
 オリンピックのための特設ステージには、『オペラ座の怪人』から抜け出たような豪華なシャンデリアがきらめき、世界中から来た競技者たちと、それをテレビの向こうから見守る世界中の人々に、その歌声は深く響き渡りました。
 その曲が、『トゥーランドット』から「誰も寝てはならぬ」だったのです。
 なんという素晴らしい偶然!それとも運命だったのでしょうか。聴いた瞬間に私も驚きましたが、荒川さんはもっとだったでしょう。この歌を聴いた瞬間に「運命を感じた」と仰っていました。






 “誰も寝てはならぬ。あなたもそうだよ。王女さま”


 『トーゥーランドット』は、中国の北京が舞台の童話風の物語です。
 ダッタン人の王子カラフは、美しいトゥーランドット姫に一目惚れします。けれど彼女は氷のような心の持ち主で、花婿になる条件の三つの謎を解けなければ、容赦なく首をはねました。そのために、何人もの王子が犠牲になりました。
 カラフは謎解きに挑戦し、次々と答えを言い当てました。
 ところがわがままなトゥーランドット姫は、それでも結婚は嫌だと言い張ります。
 そこでカラフは逆にトゥーランドット姫に謎を出します。明日の朝までに私の名を言い当てたら、あなたに私の命を捧げましょうと。
 星空の下、宮廷の庭はものものしい雰囲気が漂います。トゥーランドット姫は北京の役人たちに、彼の名前が分かるまで誰も寝てはならないと厳命を出したのです。
 夜を徹して町中、彼の名を知っているものがいないか捜索が行われます。
 そこでカラフがのんきそうに歌うアリアがこの「誰も寝てはならぬ」です。