音楽:チャイコフスキー 幻想序曲「ロミオとジュリエット」
Pyotr Ilich Tchaikovsky, Romeo and Juliet (Fantasy Overture)

絵画:フランク・ディクシー 「ロミオとジュリエット」
Sir Frank Dicksee, Romeo and Juliet

( Shizuka Arakawa, Elena Sokolova, Ilia Kulik, etc.)


 「ロミオとジュリエット」は、「カルメン」と共に、フィギュアスケートで人気な題材です。
 ただ「カルメン」の音楽といえばビゼーのオペラですが、ロミオとジュリエット」については、ニーノ・ロータ作曲の映画音楽や、プロコフィエフ作曲のバレエ音楽、そしてこのチャイコフスキーの幻想序曲など様々です。
 このチャイコフスキーの幻想序曲「ロミオ(ロメオ)とジュリエット」は、2004-2005年、荒川静香選手とロシアのエレーナ・ソコロワ選手がフリーで使用しました。
 NHK杯など、同じ大会に出たので、その対比はおもしろかったです。荒川選手は、ピンクや黒など、何度か衣装を変えられましたが、私が好きだったのは黒に十字架の入った衣装でした。

 そしてもう1人、ロシアのイリヤ・クーリック選手も、1996-1997年のフリーにこの曲を使用していました。ロミオは美しい金髪とロマンチックな雰囲気のイリヤにはとてもよく似合っていたのですが、なぜかこの「ロミオとジュリエット」は相性が悪いらしく、ノーミスですべることがなかったのが残念です。
 この年(1997)の世界選手権で5位、前年に銀メダルだっただけに、少し不安になった時期でした。しかも、この時アレクセイ・ヤグディンがめきめきと頭角を現してきて、なんと銅メダル。クーリック・ファンとしては、楽しみにしている翌年の長野オリンピックが心配でなりませんでした(見事優勝しましたが)。

 クーリックだけでなく、このチャイコフスキー版は荒川さんとも相性が悪いらしく、この年はスケート靴が合わなかったということもあり、前年優勝した世界選手権で、9位という不本意な結果になりました。

 チャイコフスキーでも、「白鳥の湖」や「くるみ割り人形」のように踊るために作られた作品ではないので、リズムに乗りにくく、ジャンプが飛びにくい曲なのかもしれません。