音楽:バッハ 「G線上のアリア」(管弦楽組曲第三番 BWV. 1068より アリア)
J.S.Bach, Air on G string from Suite for Orchestra No.3 BWV1068.
絵画:リュシアン・レヴィ=デュルメール 「洗礼者ヨハネの首を抱くサロメ」 Lucien Levy-Dhurmer, Salome
Embracing the Severed Head of John the Baptist, 1896.
Marina Klimova and Sergei Ponomarenko
1991-92 Free Dance
フィギュアスケートは今はすっかり男子シングルに夢中ですが、かつてはアイス・ダンスが一番好きでした。
きっかけは1992年アルベールビル・オリンピック、金メダリストのソ連のマリナ・クリモワ&セルゲイ・ポノマレンコのフリー・ダンス「G線上のアリア」を観たことからでした。
静かな音楽にのせて、深く抱き合い、見つめあい、激しく情熱的に絡み合いながら、バッハの聖なる音楽と同様に、限りない美しさ、神々しさ、清浄さに満ちていました。
女性のクリモワの衣装がとても素敵で、黒のパンツの衣装に、肩から背にかけてマント風の大きな灰色の布がついていて、それが滑ると舞い上がって、まるで羽のようでした。揺れる衣装、カールした赤みがかった髪、細い肩と腕、指先、言葉はなくとも、クリモワの全身が語りかけてきました。
バッハで、こんな表現もあるのかと、声を失い、見とれました。
このFDは、繰り返し繰り返し観て、幾度も幾度も感激しています。今もなお、私がこれまで観たアイスダンスの中で、もっとも好きなものです。
このFDは前半は「G線上のアリア」、後半は「トッカータとフーガ」 (BWV565)より「フーガ」です。
'Fugue' from Toccata and Fugue, BWV565 MIDI
このフーガは、最後に2人がしっかりと抱き合う場面に効果的に使われました。
クリモワの長い髪がさっと、ポノマレンコの顔に落ちて、劇的で、とても素敵でした。
このページに飾っているデュルメールの美しい「サロメ」の絵を見た時、美しかったマリナ・クリモワを思い出しました。
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SALOMÉ:
Ah! I have kissed thy mouth, Jokanaan.
I have kissed thy mouth.
There was a bitter taste on thy lips.
Was it the taste of blood ...?
But perchance it is the taste of love ....
They say that love hath a bitter taste ....
But what of that? What of that?
I have kissed thy mouth, Jokanaan.
From ‘Salomé’ by Oscar Wilde
・・・・・ああ!お前はその口に口づけさせて
くれなかったね、ヨカナーン。
さあ!今こそ、その口づけを。
この歯で噛んでやる、熟れた木の実をかむように。
そうするとも、あたしはお前の口に口づけするよ、ヨカナーン。
(「サロメ」 オスカー・ワイルド 福田互存訳)
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