音楽:「マトリックス」
The Matrix

絵画:フェルナン・クノップフ 「沈黙」
Fernand Khnopff, Du Silence, 1890.


Brian JOUBERT
2003-2004, 2006 Long Program


 ブライアン・ジュベール選手のイメージで、クノップフの「沈黙」の絵を飾ってみましたが、“沈黙”という言葉くらい、ジュベール(とジョニー・ウィアー君)に、似合わない言葉はないような気がします(笑)
 こちらが周囲の反応にドキドキしてしまうくらい、問題発言が多い選手ですが、心配してしまうのは、なんだかんんだ言っても大好きだからです。

 四回転ジャンプは素晴らしいし、その他の三回転ジャンプも安定しています。ステップは目立ってアレクセイ・ヤグディンに似ているものの、ダイナミックで素晴らしいです。それにとびきりのハンサムという大長所。
 けれど衣装が、どうにもセンスのなさを感じてしまいます。2005-2006シーズンのSP「007」、わざわざ衣装の背中に「007」とでかでかと書かなくても。音楽を聞けば「007」と分かるのに。またトリノ・オリンピックまでの2005-2006のFSの「ロード・オブ・ザ・ダンス」に至っては、銀色に赤のアクセントの入った衣装で、ウルトラマンのようでした。本当に、ファッションの国、フランスの人なのでしょうか?

 2003-2004、そして2006年世界選手権のFS「マトリックス」は、映画「マトリックス」のままに、黒地にグリーンの数字やアルファベットが入ったもの。なんて安直な…、と思いつつこの「マトリックス」のFSは、とびきり格好よくて大好きです。
 発言はかなり問題ありですが、あのきれいな目を見ていると、どうにも悪い人には思えません。無邪気で無防備で、表裏のない…、本当は純粋すぎるのでは?と、かばってあげたくなるのです。
 SPはかなりいい点を取れるのに、緊張に弱いのかFSで失敗の連続で、自滅してしまうという、才能はありながら、困った選手なのです。そのためトリノ・オリンピックでは、SP4位、FS7位で、総合6位という成績でした。

 でもこの「マトリックス」は、2004年と2006年の境選手権、共に2位という成績で、彼の長所が出ていて、本当に素晴らしかったです。
 2006年の世界選手権では、トリノ・オリンピックまでのFS「ロード・オブ・ザ・ダンス」から、この先々シーズンの「マトリックス」に戻しました。彼がもっとも良い成績を収めたプログラムです。そして、4-3の連続ジャンプを含めた、2回の4回転ジャンプを決め、ノリにのったステップは見ていてとても気持ちが良かったです。
 多分これで、彼の自信も戻ったと思うので(もともと自信はあったと思いますが)、今後も素晴らしい演技を見せてくれることを願ってやみません。