音楽:リスト 「愛の夢」第3番
Franz Liszt, Libestraume - 3 Notturno S541 No.3.
MIDI提供:Reinmusik

絵画:ルイ・イカール 「鳩」
Louis Icart, The Doves, 1922.

( Ilia Kulik )


 リストの「愛の夢」第3番は、1998年の長野オリンピック 男子シングル優勝の、ロシアのイリヤ・クーリック選手がエキシビションに使用していた曲です。
 クーリックといえば、彼を思い出す時イメージする曲は、ショート・プログラムでもロング・プログラムの曲でもなく、いつもこのエキシビションの「愛の夢」です。

 白のブラウスに黒いパンツ、金の髪をなびかせて、氷をすべるというよりも舞うように、彼は限りなく…綺麗でした。
 綺麗なイリヤは、映画『太陽と月に背いて』で、フランスの詩人アルチュール・ランボーに扮した時の、少年としてもっとも美しかった頃の、レオナルド・ディカプリオによく似ていました。
 またこの「愛の夢」のイリヤをご覧になったヴァイオリニストの千住真理子さんが、彼と共に即興で演奏したいと語られていました。

 トリノ・オリンピックを控えた2005年、やはり美形である、アメリカのジョニー・ウィアー選手のFSは、最初この「愛の夢」だったそうですが、自分の曲のように思えなくて、変更したそうです。この曲ですべると他の選手をイメージしてしまうという中に、クーリックも入っていました。
 少し(いえ、ものすごく)残念でしたが、やはりこの曲を聞くと、あの美しい金髪を思い出すから、これでいいのかもしれません。
 ロシア人らしく透けるように色の白いイリヤの頬は、演技をするといつも薔薇色に紅潮して、それがまた少年らしく素敵でした。

 「愛の夢」と共に思い出す、永遠の少年です。