音楽:ラヴェル 「ボレロ」
Maurice Ravel, Bolero.
MIDI提供:Sketch様.

絵画:ルイ・イカール 「ポエム」
Louis Icart, The Poem, 1928.

( Jayne Torvil and Christopher Dean, Galit Chait and Sergei Sakhnovski, etc.)


 フィギュアスケートで「ボレロ」といえば、1984年のサラエボ・オリンピックで、アイスダンスで優勝した、イギリスのジェーン・トーヴィル&クリストファー・ディーン組です。
 今も昔も、アイスダンスといえばロシア(当時はソ連)ですが、この2人はイギリス人です。
 同じフレーズを繰り返し演奏し続けるこの曲を、“かなわぬ恋に身を焦がし火山の噴火口に身投げする物語”として表現し、あくまでスポーツであるフィギュアスケートを芸術にまで高めました。
 芸術点で、ジャッジ全員が6.0という満点(フルマーク)をつけ、それが電光掲示板に次々と表示されたのは伝説となっています。

 トーヴィル&ディーンのイメージがあまりに強く、「ボレロ」はよほど自信がないかぎり使えないという難曲になりました。
 私の記憶にあるところでは、エフゲニー・プルシェンコ、アレクサンドル・アプト、ミシェル・クワンが使っています。

 そして2005-2006年、トリノ・オリンピックのあるシーズンに、トーヴィル&ディーンと同じアイスダンスで「ボレロ」が復活しました。イスラエルのガリト・チャイト&セルゲイ・サフノフスキー組で、こちらもまた美しく官能を秘めた素晴らしい演技を披露しています。
 グランプリシリーズ中国大会とロシア大会でそれぞれ2位、ファイナルでは4位、ヨーロッパ選手権では5位となっています。