音楽:『オペラ座の怪人』より 「オーヴァチュア」
Overture (The Phantom of the Opera).

絵画:オーブリー・ビアズリー 「ネオファイトと黒魔術が彼に効力を及ぼした顛末」
Aubrey Beardsley,
Of a Neophyte, and How the Black Art Was Revealed unto Him by the Fiend Asomuel, 1893.

Qing PANG & Jian TONG
2005-06 Long Program




 『オペラ座の怪人』は、2005-2006年シーズン、2005年グランプリ・ファイナル6位、トリノ・オリンピック4位、世界選手権優勝と、大飛躍を遂げたと中国のペア、チン・パン&ジャン・トンのロング・プログラムです。曲は「オーヴァチュア」と「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」の2曲を使いました。

 私が観戦に行った2005年グランプリ・ファイナルで、この時は正直に言って、それほど良いと思いませんでした。むしろ『オペラ座の怪人』は、2人に向いていないのではとも思いました。
 良くも悪くも健康的で、退廃的な『オペラ座〜』とはイメージが違うし、使っている曲からすると、ファントムとクリスティーヌだと思いますが、普通の若い恋人同士にしか見えない印象でした。『オペラ座〜』なら、クリスティーヌとラウルの若い恋人同士が歌う、「オール・アイ・アスク・オブ・ユー」の方が合っているのではと思いました。
 オリンピックの時のコメントで、女性のパンさんが、クリスティーヌという役作りがなかなかうまくいかなかったと仰っていたので、演技にもそれが出てしまったのかと思いました。

 ところがオリンピックで、驚くほどの大変化、2人とも役を的確にとらえていて、中国の選手特有のダイナミックさを残しつつ、ドラマチックで悲劇的な美しさを表現しました。
 特に女性のパンさん。スケート美人の1人だと思います。可憐さと強さを持った、魅力的なクリスティーヌでした。
 オリンピックのフリー、ノーミスの演技で、他の選手のミスもあり、銀メダルはこのペアかと思いましたが、点数が伸びず4位でした。結果が出てしまった以上、仕方がありませんが(しかも銅メダリスト、申雪&趙宏博は大好きなペアですが)、私の中では今も、銀メダルは、このペアではないかと思っています。

 そして悲願の優勝をした2006世界選手権、こちらは最初の方のジャンプでパンさんが転倒し、オリンピックのようなノーミスではなかったのですが、村主章枝さん(ノーミスでオリンピック4位、ミスありで世界選手権2位)と同じように、こちらの方で高い評価を受けたのが、嬉しいけれど、複雑な気持ちになりました。
 世界選手権優勝、おめでとう! これからの選手だと思うので、日本にもたくさん来て、素晴らしい演技を見せてほしいです。


 チン・パン&ジャン・トンの演技の前半はこのページで流している「オーヴァチュア」、中盤から使われる「ミュージック・オブ・ザ・ナイト」のMIDIは、以下に置いておきます。

 The Music of the night
 
 ファントムがクリスティーヌを地下宮殿へと連れてきた時に歌う美しくも官能的な歌です。



ビアズリー 「ワーグナーの愛好者たち」
Aubrey Beardsley, The Wagnerites, 1894.



おまけ

そのほかにもフィギュアスケートでよく使われる『オペラ座の怪人』、
勝手に2005年に活躍した選手で私が見てみたい
フィギュアスケート『オペラ座』キャスト♪

シンク・オブ・ミー 浅田真央ちゃん(クリスティーヌの主役デビュー曲)
エンジェル・オブ・ミュージック サーシャ・コーエン(音楽の天使を崇拝するクリスティーヌ)
オペラ座の怪人 ナフカ&コストマロフ組(色っぽく♪)
オール・アイ・アスク・オブ・ユー ジェフリー・バトル(「僕が君を守るよ」とバトルに言われたい…)
マスカレード エマニュエル・サンデュー(ど派手にバレエを踊ってほしい)
もう一度姿を現して 村主章枝さん(「どうか私にさよならと言わせて…」似合いそう)
ポイント・オブ・ノー・リターン トトミアニナ&マリニン(マリニンとなら「情熱のプレイ 受難劇」もOK?)

注:「情熱のプレイ」は戸田奈●子さんの「passion-play(受難劇)」の名誤訳です。



ビアズリー 「ヴィーナスとタンホイザー」巻頭口絵
Aubrey Beardsley, Frontispiece for Venus and Tannhauser, 1895.