音楽:チャイコフスキー バレエ『くるみ割り人形』より 「花のワルツ」 Pyotr Ilich Tchaikovsky, Waltz of the Flowers (The Nutcracker)
絵画:ケイト・グリーナウェイ 「花」 Kate Greenaway, Flowers. 1898.
MAO ASADA Season 2005/2006 Long program
チャイコフスキーのバレエ音楽『くるみ割り人形』は、2005年、日本の選手、いえ、世界の選手でもっとも活躍し、驚愕させた浅田真央ちゃんのフリー・スケーティングです。
真央ちゃんのフリーの曲の構成はこうです。
曲を聞いただけで、真央ちゃんが滑る姿が思い浮かびます。
東京で開催されたグランプリ・ファイナルを観にいくことができましたが、フリーで真央ちゃんが、このFSを滑る前は、緊張で苦しいくらいでした。
その前の滑走のイリーナ・スルツカヤが素晴らしい演技を見せてくれただけに、演技に影響しないかとても心配で、期待しすぎてはいけないと思いつつ、大きく期待してしまい、こんな緊張感は自分以外のことでありませんでした。
そして心配をよそに颯爽とトリプル・アクセルを決めたあの奇跡のような演技、最後の三つのコンビネーション・ジャンプを決めた時は、涙が出ました。日本の選手が世界一になる瞬間を生まれて初めて見ました。それも大好きなフィギュアスケートで。
こんなに大きな幸せと喜びを与えてくれた真央ちゃんには、感謝してやみません。
チャイコフスキーの『くるみ割り人形』は、クリスマスの少女の夢を描いた、素敵なファンタジー・バレエです。
クリスマス・イヴのパーティ、少女クララ(マリー、マーシャの場合もあり)は、人形使い(魔法使い)のドロッセルマイヤーから、くるみ割りのお人形をもらいます。醜く、ぶかっこうな人形でしたが、クララはとても気に入ります。
ところがクララの兄のフリッツが、その人形に無理矢理大きなくるみを割らせようとして壊してしまいます。
そして夜もふけ、クララは眠っていましたが、壊れたくるみ割り人形が気になってしかたがなくなり、ベッドから出て、居間に置いたくるみ割り人形を見にいくと、どうでしょう。クリスマス・ツリーがどんどん大きくなり、おもちゃが動き出したのです。
そこにねずみの王様が率いるねずみの大群がおしよせ、クララのくるみ割り人形が率いるおもちゃの兵隊と戦闘を始めだしました。
ねずみたちの力はすさまじく、大事なくるみ割り人形の危機を見て、クララは思わずねずみの王様にスリッパを投げつけます。スリッパはみごとに王様に命中し、ねずみたちは退却します。
そして倒れていたくるみ割り人形が顔を上げると、その顔は美しい王子に変わっていたのです。
王子はクララにお礼を言い、お菓子の国へと連れて行ってくれます。そこでお菓子たちがクララに楽しい踊りを見せてくれるのです。そしてクララも金平糖の精に変身し、王子と踊りを踊ります。それが金平糖の精と王子のグラン・パ・ド・ドゥです。パ・ド・ドゥは「2人の踊り」という意味で、真央ちゃんのフリーの「金平糖の踊り」とコーダも、このパ・ド・ドゥの中の曲です。
夢のような時が過ぎ、いつの間にか朝。クララはクリスマス・ツリーの横で目覚めます。そしてそばにあったくるみ割り人形を抱きしめるのでした。
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