音楽:グノー 「アヴェ・マリア」
Charles Gounod, Ave Maria.

彫刻:ミケランジェロ 「ピエタ」
Michelangelo Buonarroti, Pieta, 1498-99.
Courtesy of Web Gallary of Art


Emanuel Sandhu
2006-2007 Exhibiton


 ひじょうに美しいプログラムです。
 リンクの柵をバレエのバーに見立て、バー・レッスンレッスン風に、美しいポール・ド・ブラを見せた後、リンクの中央に向かい、流れるようなスケーティングを見せてくれます。
 衣装は、おそらく7年前の1999-2000シーズンのSP「アルビノーニのアダージョ」の時に着用した、白のクラシック・バレエ風の衣装でした。この頃は、まだそれほど個性的な演技ではなく、バレエ風の優雅な演技をしていました。

 このプログラムは、3歳の頃からバレエを始め、10年間踊り続けながらも、スケートを選んだエマニュエル・サンデュの、これまでの人生のすべてが集約されたように、バレエとスケートが素晴らしい融合を果たしていました。
 個性的な演技を見せてくれるサンデュが、もしバレエ的な演技を見せてくれるなら、どんな作品がいいだろうと、これまでも、いろいろと考えていました。たとえば、男性が白鳥を踊るということで、センセーションを巻き起こした、マシュー・ボーン振付の『白鳥の湖』(アダム・クーパーが踊ったことで有名)の白鳥などどうだろうかと。どちらかといえば、個性的なものでした。
 けれど、この『アヴェ・マリア』を観た時、彼が踊る、『白鳥の湖』の王子や、『ジゼル』のアルブレヒトが観たいと、心から思いました。

 腕は美しいラインを描き、姿勢もまっすぐに、バレエの基礎のしっかりとした、彼にしかできない、美しい作品。観た瞬間、震えるような感動が起こりました。