音楽:「ある日どこかで」 Somewhere in Time
絵画:カミーユ・コロー 「黄泉より妻を連れ戻すオルフェウス」
Camille Corot, Orpheus Leading Eurydice from the Underworld, 1861.
Marie-France DUBREUIL and Patrice LAUZON
2005-06 Free Dance
"Come back to me"
私のところへ戻ってきて
映画のワンシーンのようにドラマチックに、この言葉から始まるのは、アイスダンスで、2006年世界選手権の銀メダリスト、カナダのマリ=フランス・デュブレイユ&パトリス・ローゾン組のフリー・ダンスです。
トリノ・オリンピックを控えた2005年カナダ大会とNHK杯優勝、グランプリ・ファイナルでは3位、トリノ・オリンピックはこのカップルの引退試合となるはずでした。
けれどオリジナル・ダンスで、思いもかけない転倒でデュブレイユが怪我をし、フリーは棄権となってしまいました。けれどその1ヵ月後、地元カナダのカルガリーで行われた世界選手権では復活し、みごと銀メダルとなりました。
『ある日どこかで』(1980)は、クリストファー・リーヴとジェーン・シーモア主演の、美しいラブストーリー映画です。
劇作家志望の大学生リチャード、彼のの処女作が初演され大成功をおさめたその夜、祝賀パーティで、彼は見知らぬ老婦人から声をかけられます。
彼女は彼の手に、金色の懐中時計を渡すと言います。
「私のところへ戻ってきて」
リチャードは不審に思ったものの忘れ、8年の歳月が流れます。
リチャードは念願の劇作家になったもののスランプに陥り、気晴らしに旅に出、泊まった古いグランド・ホテルの歴史資料室で、1人の美しい女性の写真に心を奪われます。
それは60年も前にこのホテルを訪れた人気女優、エリーズ・マッケナでした。リチャードは自分でも訳が分からないままエリーズに心惹かれ、彼女のことを調べていくうちに、晩年の彼女の写真を見つけます。それは8年前、自分に金時計をくれたあの老婦人だったのです。そして彼女はあの夜に亡くなったというのです。
「私のところへ戻ってきて」
彼女は自分を知っていた。何らかの方法で自分は過去に行って、彼女に会っていたのではないかと、突拍子もない考えが思い浮かびます。
エリーズの遺品の中に「タイム・トラベル」という本を見つけたリチャードは、過去に行く方法を見つけ、ついに旅立つのです。
そして過去で、彼は彼女を見つけます。
そして未来で、彼女は彼を見つけます。
デュブレイユ&ローゾンの演技は、この映画をなぞっていて、冒頭の"Come
back to me (私のところへ戻ってきて)"という映画のセリフから始まり、美しいワルツのように滑らかに滑り、恋の高揚のような高いリフト、素敵でした。
衣装もデュブレイユの方は華やかなドレス風の衣装、ローゾンの方はトラッド風カジュアル・ファッションで、そのちぐはぐさが、女優エリーズと劇作家リチャードを思わせ、もう一度映画を観るような気持ちになりました。
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